浅田舞のスポ友!【詳録】にて、先日更新された
浅田 舞のスポ友! 「リンクで家族会議 小塚崇彦さんの
詳しい内容が掲載されています!
フィギュア男子・全日本チャンピオン 小塚崇彦選手 1
昨年末のフィギュアスケート全日本選手権を初制覇し、男子初の親子優勝を成し遂げた小塚崇彦選手(21)(トヨタ自動車)に愛知県豊田市の中京大アイスアリーナで話を聞きました。父親の嗣彦さんも同選手権で3連覇し、五輪にも出場した名選手でした。小塚選手と私は小学生時代からのスケート仲間で、中京大の同級生ですが、これまで聞けなかったことも、尋ねてみました。(2010年12月1日、愛知県豊田市の中京大アイスアリーナで)
■ 「落ち着き」に変化
舞 フランス杯、お疲れさまでした。どうですか。いつも(練習を)見ていて、どうですかも変だけど。
崇彦 いつも見ていて、どうでしたか。
舞 崇ちゃんと、真央の練習を見ているけど、崇ちゃんを見てる時は、安心する。あっ、崇ちゃんは絶対、失敗しないなって、なんか安心する。
崇彦 そう。
舞 そうって。なに? なんか、安心する。曲をかけて、滑っているのをずっと見ていると、ここでこのジャンプ跳ぶって、わかってくるじゃん。
崇彦 うん、うん。
舞 次ぎに4回転(ジャンプ)だとか、トリプルアクセルだとか、あっ崇ちゃんだと(転ばない)大丈夫だって思えるもん。
崇彦 あっ、そう。
舞 真央だと緊張するもん。バンクーバーオリンピックが終わって、次のシーズンだけど、なんか変わったこととかある。気持ちの変化とか?
崇彦 オリンピックが終わって、もっと自分に自信を持ってもいいのかなって。
舞 今までは自信持ってなかったの?
崇彦 自信を持とうとは思っていたけど、どこに自信を持っていいのかが、わかんなかった。あとは、周りの目を気にし過ぎたというか。周りの意見ばっかり気にして、自信が持てる場所を探して、あっちへ行って、こっちへ行って、フラフラしていた感じかな。しっかり自分の芯を持ってなくて。それがオリンピック終わって、ね。
舞 何か、きっかけとかあったの?
崇彦 うーん。オリンピックもそうだし、その後に、世界選手権はショートプログラムが良くて、その後のフリーでつぶれた。波はあったけど、オリンピックが終わって、練習して良かったなって、思える雰囲気が出た。その後、世界選手権のショートプログラムで、ちゃんとした演技をしたら、(プログラム構成)点も出て、「あっ、点数を出してもらえるようになったんだな」って、感じた。
舞 それで自信を持って。
崇彦 そうそう。それで、フリーは緊張しちゃって、世界選手権ではつぶれちゃった。でも、2つの試合で自信がわいてきた。「スケーティングがうまい」ってばかり言われてきたけどね。
舞 本当は「スケーティングがうまいよね」って言われるのが、嫌だったってこと?
崇彦 嫌って、ことじゃないけど。
舞 なんか意識しちゃうの?
崇彦 そればっかりを意識しちゃう。自分の中ではプログラム全体の演技というか、雰囲気というかね、流れで見てもらいたいのに、そこばっかり、見られちゃうっていうのがね。スケートって、スケーティングだけじゃないし、ジャンプだけじゃないし、スピンだけじゃないし、ステップだけでもない。全部がうまくいって、評価されるもの。
舞 そうだね。
崇彦 それがフィギュアスケートって考えを持っているから、それにまだ当てはまってないのかなって思って、いろんな人の意見を取り入れて、やっていると、自分の持っていなきゃいけない芯というものが、崩れていっちゃったというか。
舞 なるほど。今シーズンに入って、「小塚選手は完全に変わったな」って、周りは感じていると思うけど、自分でもそれを感じることはある?
崇彦 試合やって、すごく落ち着いている。何を言われても、落ち着いているというのが、去年と今年で変わったってことかな。そう思っている。
舞 落ち着くっていうのは、緊張しないってこと?
崇彦 いや、試合前の緊張はすごくしているし、この前のフランス杯もホテルを出て、外行ったら、コンタクトレンズが間違ってた。昔のコンタクトを付けてた。
舞 本当に?
崇彦 本当。外の景色が全然、見えなくて。看板もいつもだったら、はっきり見えるのに、全然、見えなくて。
舞 度数が低かったんだ。
崇彦 そう、低かった。なんで、こんなに曇ってるんだろうって。でも、昔のコンタクトを付けていたことに、気づいたってことに、意義があったのかなって。
舞 じゃあ、前は気づかなかったってこと?
崇彦 緊張してたら、気づかないで、不安を抱えて、そのまま行ってたと思う。
舞 緊張するんだ。
崇彦 もう、「緊張しい」だよ。
舞 いつぐらいから、緊張する。
崇彦 試合の1週間くらい前。眠れなくなる。1週間前に絶対に。
舞 えっ、そうなの?
崇彦 眠れなくなるけど、そこで少しでも体を休めないのは良くないのかなって、眠れなくてもいいから、とりあえず横になってる。
舞 それくらい、眠れないんだ。
崇彦 そう。全然、目がさえちゃって、眠れない。ずっと。
舞 それは、1週間前に1回ってこと。
崇彦 そう。試合の1週間に。
舞 必ず?
崇彦 そう。必ず。
舞 あっ、緊張してるなって?
崇彦 いつものが来たって感じかな。
舞 じゃあ、その時に1回あって、会場に行く飛行機は普通?
崇彦 飛行機の中はもう全然、普通。
舞 じゃあ、会場に行ってからも普通? 公式練習が終わっても。
崇彦 あっ、そうだ。今年はないな。でも、去年までは現地に入って、一番最初の練習は緊張していた。絶対、緊張した。緊張していて、動けないから、(佐藤)信夫先生に、「動け!」って、言われていた。でも、それが今季はないから不思議。
舞 じゃあ、緊張を取るためにしていることは、ある?
崇彦 寝る時はとりあえず寝る。寝たふりというか、まあ、目をつむって、横になる。
舞 じゃあ、試合会場に入ってからは?
崇彦 何だろう。体を動かすことかな。動かして、緊張を取ってたかな?
(続く)